働く私たち労働者や経営者にとって、理解しておかなければならない法律があります。
企業の経営資源として、ヒト・モノ・カネの三つがあげられますが、この中の一つである「ヒト」を企業が活用する際、従わなければならないのが労働関連の法律です。
企業が自分の利益ばかり追求すると、そこで働く人の労働環境が悪化することがあります。そこで、労働基準法によって労働者の権利が守られています。経営者として、またそこで働く労働者として、このことは理解しておく必要があります。
労働基準法とは
労働基準法とは、労働条件の最低基準を定めた法律です。
その最低基準とは、労働時間や休憩時間、賃金、休暇などが含まれています。これらの最低基準を法律で定める事によって、企業が従業員を劣悪な条件で働かせることを防ぎ、労働者を保護しています。
法律では、使用者側は強く、労働者は弱い立場にあるという基本的な考え方があります。
労使の契約では、お互い対等であるという事にはなりますが、賃金をもらう側としてはそれで生計を立てるわけですので、多少賃金や労働条件に不満があっても文句を言えないという状況もあります。
賃金交渉するとしても、今の賃金が嫌なら他の人を雇うので辞めてもいいよと言われてしまえば、会社の賃金に従うしかなるでしょう。
そのような事から、労働者は弱い立場にあり、法律でまもる必要があるというのが、労働に関する法律の基本的な考え方です。
逆に考えれば、法律で守られているだけに、労働者には強い権利が与えられているとも言えます。
労働に関する契約
労働に関連する契約として、雇用契約、請負契約、労働者派遣契約という3つの契約があります。
雇用契約
労働者が会社から直接、雇用と指示を受ける労働形態です。労働者と企業の間で雇用契約書を作成し、雇用契約を結びます。
正社員、契約社員、アルバイト、パートに限らず、企業と雇用契約を結んでいる人は、会社と雇用関係にあると言えます。
雇用契約では、契約した企業から雇用と指示を受けます。
この指示を受けるという事が、雇用契約や労働者派遣契約と請負契約を区別する要素の一つとなるので、重要なポイントと言えます。
労働者派遣契約
労働者は派遣元と雇用契約し、派遣先から指示を受ける働き方です。
この契約では、派遣先と派遣元の間で労働者派遣契約書を作成し、労働者派遣契約を結びます。派遣労働者の給与は、派遣元から支払われ、派遣会社に雇用される労働者は派遣労働者といいます。
請負契約
発注者と受注者の間で請負契約書を作成し、請負契約を結びます。
請負契約の特徴
労働者派遣契約と請負契約では、次の点で大きな違いがあります。
- 労働者派遣契約では、派遣先の会社が労働者に指示を出せる
- 請負契約では、発注者の会社は労働者に指示を出せない
つまり指示を出せるかどうかが、請負契約を区別する要素になります。
この発注者が労働者に直接指示を出せない点で、請負契約には次の2つの特徴があります。
完成責任
請負契約では、仕事の完成をもって報酬を支払う約束になっている。
瑕疵担保責任
請負契約では、完成した仕事に欠陥があった場合の責任は、請負った会社が負う事になっている。
その他
請負契約と労働者派遣契約とも違う、準委任契約というのもあります。
「完成責任と瑕疵担保責任がない」点が請負契約と違い、「発注者に指揮命令権がない」という点で労働者派遣契約とも違います。
労働関連の法規は、労働者の権利を守るために定められています。
労働基準法の他にも、最低賃金法、労働安全衛生法、男女雇用機会均等法など、ヒトを雇用する際にはいろいろな法規が関係してきます。
雇用する側もされる側も、このような法律がある事は理解しておきましょう。