節税方法の一つに社用車を利用した方法がよく紹介されていたりします。
基本的には減価償却費という税務会計に存在する制度を利用して、お金の支出と経費計上のタイミングに差を出して節税を行うことが多いです。
つまり、社用車の購入を検討したときに現金で購入した方が良いのか、ローンを使った方が良いのか、この辺りが検討される部分になってくるかと思います。
もちろんこの減価償却費は車だけに限らず、建物や機械などにも適用される制度です。
本日から数回に渡ってこの減価償却費という制度と実務での応用を社用車の購入に焦点を当ててご説明していきたいと思います。
それではまず、先程から何度も登場している減価償却についてご説明していきたいと思います。
【減価償却】とは?
①税務会計独特の概念
②長期間使用する設備等は支払い時に一括ではなく、想定される期間に応じて配分し計上
・自動車
・製造業等の機械装置
・工場用の建物
・不動産賃貸業されている方の物件
・パソコン 等
このような期をまたいで使用することが想定される資産に対して、購入した期に一括で計上してしまうと実態を反映しないので、使用する期間に応じて費用配分をすることが義務付けられています。
③購入の翌年以降はお金が出ていかない経費
ここが減価償却の特徴と言っても過言ではないのですが、②の特徴から分かるように支払自体は例えば一括なら購入した期に全額現金の支出はありますが、経費化する際はその後の期間に繰り延べていく形を取ります。
④耐用年数は資産の種類等に応じて、国税庁によって(長めに)定められている
・資産の種類によって耐用年数がかなり細かく設定されています。
個人でも法人でも耐用年数表に基づいて少しずつ経費化していかなければなりません。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
⑤会計上の利益と実際の現金残高の差が発生する原因でもある
これは経営をされていると実際にご経験がおありの方もいらっしゃるかと思いますが、減価償却は現金を支出していないのに経費として利益を圧縮する形になるので、資産を購入した次年度など赤字なのに思ったより現金が手元に残っていたりします。
もちろんこれは減価償却だけが原因ではなく他にも在庫や売掛金、手形による資金回収のサイトによって生じることもあります。
以上が減価償却の特徴です。
減価償却は資金繰りを考える際にもとても重要な勘定科目です。
PL(損益計算書)の損益から減価償却を抜いてみると本当の利益が見えてくることもあります、実際銀行員の方は損益を見るときに減価償却や役員報酬を抜いた会社の本当の利益で評価をする方も少なくないのです。
【参考:減価償却費 国税庁】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm
いかがでしたでしょうか、今回はまず減価償却とは何かというところからご説明をさせて頂きました。
次回は減価償却の実際の計上方法についてご説明していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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