自営業になるとどうなるのか|会社員と個人事業主の違い

2020年11月の日経新聞の記事ですが、電通で正社員を業務委託契約に切り替え、「個人事業主」として働いてもらう制度を始めるというニュースが出ていました。

優秀な社員にとっては、多様な働き方に道が開かれるため、メリットがある部分も多いと思います。

一方、雇用契約ではなくなるため、働き過ぎなどの問題を個人の責任で管理する事になってきます。契約内容にもよりますが、個人事業主では引き受けた仕事を遂行できるのであれば、仕事場所や働く時間も縛られませんし、さらには仕事を外注することも可能になってきます。全部の責任を負う代わりに、自分の意思で好きなように働けるという良い部分もあるのです。

今回は、個人事業主として会社から独立し、業務委託での仕事を受ける事になった場合、会社員だった時とどのような違いが出てくるか、主にお金に関する部分での違いについて考えてみます。

労働基準法の適用除外

雇用契約で会社に雇われている時には、労働基準法でまもられていますが、個人事業主では、労働基準法は関係ありません。

社会保険

雇用されていた時と、お金の面で大きな違いがあるのが、社会保険です。個人事業では、国民健康保険・国民年金に加入する必要があります。雇用されていた時の社会保険料は、会社が半分負担することになっていますので、負担が増えると感じるかもしれません。特に健康保険は国保になると、たくさん取られるようになったと感じるはずです。

これは、自己負担分だけで国保と協会健保を比べているから、国保の方が高く感じられるのであって、会社負担分も含めて比較すると差はほとんど無いという見方もできます。この事は別の機会に改めて記事にしたいと思いますが、正社員から業務委託に切り替わるならば、社会保険料の会社負担分がなくなるから、その分報酬に上乗せしてもらうという交渉もできるのではないかと思います。

報酬にかかる源泉徴収の税率が一律10.21%(100万円以下)

必ずしも源泉徴収されるとは限りませんが、契約先によっては源泉徴収して報酬を払う場合もあります。いずれにせよ確定申告はしなければなりませんので、源泉徴収されているかどうかは、確認しておきましょう。

報酬に消費税の上乗せが可能

役務の提供に対する対価には、基本的に消費税が課税される事になります。請求時に消費税を上乗せすることができます。

消費税の納税義務あり

消費税を受け取るという事は、消費税の納税義務もあります。ただし売上が1,000万円以内であれば、消費税が免除されます。

確定申告が必要

報酬を受け取る時に源泉徴収がされていますが、確定申告が必須となります。会社員で給与をもらっている時には、会社で年末調整をしているので、必ずしも確定申告は必要ではありませんでした。

個人として税金を無申告でいる事は、脱税というだけではなく事業継続の観点からも不利になる事があります。

今年の、コロナウィルス感染症の影響で、売上が激減した事業者への給付金(持続化給付金)では、無申告で個人の仕事をしていた人は、過去の確定申告がなくて申請すらできないという事になりました。

どうしても申請したい場合には、過去にさかのぼって確定申告をし、その上で申し込む事になります。

給付金だけでなく、公庫や銀行から事業資金の融資も利用できないことが考えられます。確定申告をしていないと、収入がどれだけあったのかを正式に証明する事ができないのです。このような場合にも、融資が必要になった場合にさかのぼって申告する事になってしまいます。

私の聞いたことのある例では、仕事を個人で受けている一人親方の建設業の方、フィットネスジムのパーソナルトレーナーやエステティシャンの方など、申告をしていないケースはあるようです。もらっていた報酬が給与収入でなければ、個人事業として確定申告をしなければなりません。

黙っていれば税金を払わないで済むなどと安易に考えていると、社会的なサービスを受けようとした時に不利になる事もあるのです。

退職金は自分で

個人事業主が自分で退職金を積み立てる事ができる制度があり、節税にもなります。

個人事業主は経営者の視点を持てる

企業勤めでも、ある程度仕事ができるようになると、経営者側からの視点で仕事を見る事ができるようになると思います。個人事業主になれば、実際に経営者となります。

会社員の時は経費を削減することが求められていた方も多いと思います。しかし事業運営上、必要な経費を積極的に使うべき場面もあるでしょう。

企業に勤めていれば、研修やセミナーなど会社の指示や案内があり、積極的ではなくても自己投資につながる事が出来たと思います。個人事業主であればそういった自己投資も自分で判断して行う事になります。

経費を使わないようにしてしまうと、自己啓発や勉強の機会を逃してしまう事も考えられます。勉強やスキルアップの自己投資に使う費用を、売上の何%と決めておけば、積極的に自己投資も続けられますし、逆に使いすぎも防ぐことができるでしょう。

まとめ

正社員を業務委託に切り替えるという事は、企業の都合のいいように契約を変えてリストラしようとしているのではないかという意見もありますが、多様な働き方があるのは悪いことではないはずです。

働く側も企業の言いなりになるのではなく、知識をつけて、お互いにメリットのある働き方を選択できるようにしたいですね。

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